人の能力には個体差があり、限界があります。
アマ三段くらいまでは客観的に認知される階級差と棋力差はマッチするものですが四段、五段になると結構曖昧になってきます。
そしてこの四、五段域の曖昧さについては実際にその域に達して初めて感覚的にわかるものでもあります。
更にそれ以上となると
アマ五段~七段 ⇔ 奨励会6級~三段
という風に対応し、棋力の絶対的な差は僅かになります。
個人的には奨励会は一律2級くらいからの入会にすれば今よりは階級差がそのまま実力差通りとなっていいのではないかと思っています。
最終的には三段の人数が膨れ上がるでしょうが。
棋力を100m走で喩えるなら、
アマ三段までは秒単位(13秒以上)、アマ四、五段からは0.1秒単位(13~11秒台)、それ以上となると0.01秒単位(10秒台以下)のオーダーで力量が測られる世界となるでしょうか。
同じ0.1秒差でも13.1秒と13.2秒の差と10.0秒と10.1秒の差は全く意味が違います。
特に10秒台で走る選手の記録はその日の風の状況によっても変わるので適正な条件下での測定自体が難しいようです。
遺伝子操作でもしない限り、今から1000年経っても8秒台で走る人間は現れないと思いますがそこに至らないまでの土俵で皆が競い合っています。
以前、優に奨励会二・三段の実力はあると思われるアマ竜王経験者の稲葉聡さんが「奨励会5級の子に5割しか勝てへん」と言っていました。
半分冗談だと思って聞き流していたのですが、後で知ったことですがその5級の子は当時の藤井聡太さんでした。
例外も中にはありますが、それでなくても棋力の差は上に行けば行くほど曖昧になるものです。無論、将棋に限ったことではありません。
陸上競技を知らない私が言うのもなんですが、将棋を100m走で例えるなら奨励会6~1級は11秒台。有段者は10秒台後半。並みのプロなら10秒台半ば。トッププロなら10秒台前半~9秒台後半といったイメージです。
これはベストコンディションの時の話なので全てを数字で説明するには無理がありますが、便利であるのも確かです。
大人は数字が好きです。新しい友だちができたよ言っても、大人は大事なことは何も聞きません。
「どんな声の子?」とか「どんな遊びが好き?」とか「蝶々を収集する子?」などとは聞きません。
聞くのは「その子はいくつ?」とか、「兄弟は何人?」とか、「体重は?」とか、「お父さんの収入は?」などということばかりです。
こういう数字を知っただけで、大人はその子のことをすっかり知ったつもりになるのです。
高段者の棋力差は僅かな差ですが大きな差ですね。四、五段の方の世界を体感したいです。