数年前に「フラッシュ・モブ」という言葉が流行った時期があります。
wikipediaによると…
フラッシュモブ(英: flash mob)とは、インターネット上や口コミで呼びかけた不特定多数の人々が申し合わせ、雑踏の中の歩行者を装って通りすがり、公共の場に集まり前触れなく突如としてパフォーマンス(ダンスや演奏など)を行って、周囲の関心を引いたのち解散する行為
だそうです。
駅の上りエスカレーターと下りエスカレーターですれ違いざまにハイタッチする行為とかもテレビで見たことがあります。
意味の無い行為だからこそ粋で爽やかです。
私が以前から頭を悩ませている将棋に関する命題の1つに「扇子は何のためにあるか?」ということがあります。
いつからか忘れましたが私は対局時扇子の使用を嗜好するようになりました。
扇子の役割は一般的には長考で火照った頭を冷やすとか集中力が途切れた時に気を紛らわすためとか、鳴らして思考のリズムを取るためといったことがよく言われます。
和室の空気とよく合うので気持ちが少しでも落ち着いたり情緒的な意味合いもあるかもしれません。
ですが実際は扇子を使用してもパフォーマンスには殆んど影響がなく、むしろ扇子をいじくる間は僅かながら持ち時間が無駄に消費されてしまうように思います。
仰ぐといっても頭を冷やすことより動かす腕の方で無駄なエネルギーが消費されて乳酸が溜まっては本末転倒でしょう。
ではなぜ扇子を使用するのかということですが、私の場合は"セルフハンディキャップ"にあります。
セルフハンディキャップとは自分自身にハンデを科すことにより思わしくない結果が得られたときのために言い訳の余地を予め作っておくことで精神的な安定を手に入れるという心理効果です。
よくテストの当日なって「昨日全然勉強してないよ」とか「全然眠れてないわ」等とわざわざ自分から話す人がいますがこれが典型的な例です。
テストの点数が悪かった時のために予め自分に言い訳をしているのです。
大会でも少なからず自分に期待していながら「どうせ負ける」、「どうせ勝つのは○○…」、「意味ない、意味ない」的なことを言っている人をたまに見かけます。
こういったボヤキは聞いていてあまり気持ちのいいものではありませんが、本人の精神安定剤になるなら仕方のない事かもしれません。
扇子に話を戻しますが、私は手強い相手と指す時や劣勢になった時ほど扇子を使用して対局中に無駄な時間を消費したくなる衝動に駆られることがあります。
特に持ち時間が短い場合でどこを読めばいいか検討がつかない局面や忙しい局面に遭遇したとき等、扇子を鳴らしている場合ではないはずですが手が勝手に動きます。
早い話が扇子のせいにして負けたときの言い訳を作っているということですが、これをすることでどうも心が落ち着くので貴重な持ち時間を浪費する無駄な行為だとわかっていても治りません。
意味の無い行為だからこそ意味がある、と信じたいです。
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