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悲劇が見える世界

人の対局をリアルタイムで観戦して手に汗握ることはありますが、後から棋譜だけを見て緊張したり感動するということはなかなかありません。

肌で感じるリアルの対局にはどうしても及ばないものです。


ですが、何時間もかけて行われた一局をわずか数分という短時間で再現できる棋譜だからこそエッセンスが凝縮されてインパクトを受けることもあります。


音楽や料理で一流の芸能人を格付けするテレビ番組がありますが、将棋でやるとどうなるのか。興味深いです。

想像するに棋譜だけを見て対局者の棋力を推察することになるでしょうか。


これなら自分でもガクトに勝てそうな気がしますw。



棋譜は将棋のノンフィクション作品です。

鑑賞しながら形勢判断と同時にその時の対局者の表情や感情を想像するのはリアルでは味わえない別の楽しみ方です。


かき氷のシロップの原料は全部同じらしいですが色が違うだけで味も違うと感じるように、、グミの原料は全部同じでも香料とパッケージの写真でりんご味やグレープ味の違いを感じるように、、視覚・嗅覚で味が変わるのは有名な話です。

果汁がちゃんと入ってるやつもありますけどね…。


やったことはないですが美味しいお寿司も真っ暗な場所で鼻をつまんで食べたらきっと普段より美味しく感じないはずです。


棋譜においても対局者の名前や棋戦名といった先入観を持たせるメタ情報(情報に関する情報)はつきものですが、だとしても昨日の藤井vs広瀬戦の最終盤の逆転劇には戦慄を覚えるものがありました。

私は結果だけを先にニュースで知って棋譜は後から見ました。


ネットにアップされていた棋譜動画には1手毎にソフトの評価値が表示されていてある意味で局面の真実がわかるようになっています。

体感での形勢判断とソフトのそれが著しく異なる場面はありますが走馬灯のように自動で再生される棋譜と変動する評価値を眺めていて複雑な気持ちになりました。


一局を通したストーリーがそこにあって、結末を知りつつもそれをリアルタイムで見たような感覚でした。


考えることのできる人にとってある局面は喜劇的ですが、感じることのできる人にとっては同じ局面でも悲劇的です。

同世代の広瀬竜王を応援していましたが、昨日の対局は感動的な悲劇でした。

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