将棋の世界には「恩返し」という言葉があります。一般的には弟子が師匠に勝つことを指しますが、私は昔からどうもこの考えには違和感を感じています。
これについては確か久保九段が次のように述べていた記事を読んだことがあり共感した覚えがあります。
「私に弟子がいたとして、相手が弟子であっても自分が負けることは悔しいし嬉しいとは思わないだろう。恩返しとは自分が倒されることではなく、自分が勝てなかった相手に勝ってくれることだ。」
というものです。
昔私の一番弟子を勝手に名乗っていた将棋太郎が奨励会で破竹の勢いで勝ちまくっていたときはまさにそんな気持ちでした。
昨年末の演奏会の録画データが今日届きました。団員の1人のご両親が撮ってくださったものです。その録画を聴きながら今書いていますが、私の将棋の教え子の一人でもある彼の出演する演奏会に初めていったときはおよそ私には演奏不可能と思われる曲(富山出身のピアニスト塚田尚吾さんが中学生の時にコンクールの本選課題曲で弾いていた)を難無く弾いてました。
自分にできないことをできる人が身近にいる教え子の一人だったことを知った当時はとても新鮮でした。
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